前回の記事が少し読まれているようだったので、超低用量ピルについて、自分の経験談を書いてみました。
結論
最初に結論ですが、超低用量ピルは、
- 生理そのものが軽くなる(最大120日間生理を止めることが可能)
- PMS(生理前のイライラ、肌荒れ、体の不調)の根本的な対策が出来る
- 卵巣を休ませることで、子宮体癌や卵巣癌のリスクを軽減させる効果がある
- 従来の『中用量ピル』『低用量ピル』より頭痛や吐き気の副作用が出にくい
という多大なメリットが見込める一方、
- 一日一回、コンスタントに飲み続ける必要がある
- 僅かではあるが、血栓症のリスクが上がる
- 低用量ピルより可能性は低いが、頭痛・吐き気の副作用が出ることがある(特に飲み始め)
- カフェイン・アルコールへの耐性が下がることがある
- 避妊としての利用はまだ国内では認められていない(避妊目的の場合は、低用量ピルが処方される)
というデメリットもあります。
しかし、医療技術の進歩により、頭痛・吐き気の副作用もだいぶ軽減され、以前は月2千円近くした薬代も、今は『ドロエチ』というジェネリック薬(新薬の特許が切れた後に製造販売される、成分は新薬と全く同じ薬)も発売され、価格も月に千円以下に抑えられてきています。
あくまで個人の一意見ではありますが、はじめ時としては丁度良いのかな、という気がしてます。
そもそも、『超低用量ピル』とは
とても簡単に言えば、『妊娠にとてもよく似た状態』を、女性ホルモンが配合されている薬(=ピル)で作り出して、生理を来なくさせる薬です。
『超低用量ピル』というのは、この女性ホルモンの配合量が、『中用量ピル』や『低用量ピル』よりも低いものを指し(具体的には、エストロゲンが0.03mg以下)、吐き気や頭痛と言った従来のピルの副作用を軽減しつつ、キチンと生理痛やPMS緩和が期待できるといった薬となっています。
『なぜピルが生理痛やPMS緩和できるのか?』というギモンに関しては、素人が間違った説明をしてしまうのは怖いので、下記にわかりやすかったHPを載せときます。ご興味ある人はどうぞ。
あくまで自分の認識で上記の記事を要約すると、
妊娠しているときは、『エストロゲン』と『プロゲステロン』という二つの女性ホルモンが放出されるのですが、この『超低用量ピル』には、その『エストロゲン』と『プロゲステロン』が一定の割合で含まれているため、ピルを服用すると、脳が『あれ、妊娠しているのかな…??』などと勘違いし、卵巣に『卵子を発育させろ~排卵させろ~~』と命令するのを辞めてしまう
⇒卵子の発育が止まり、排卵しない
⇒排卵しないので、生理が来なくなる。また、精子が来ても卵子がないので(排卵していないので)、避妊効果がある。
ということみたいです。(注:なお、ピル服用期間中の出血は、排卵がないので正確には生理ではなく、『不正出血』と呼ぶのが正確な表現なのだそう。)
こういった、体のホルモンバランスを妊娠時とよく似た状態にする治療法を、『偽妊娠療法』といって、生理痛やPMS症状の緩和だけではなく、子宮内膜症の治療としても使用されているようです。
生理を来なくさせるのって、むしろ体に悪いのでは??
『超低用量ピルで生理を来なくさせる』というのは、自然の摂理に逆らっていて、体にとってむしろ良くないのでは、という不安を持つ方もいるかもしれませんが、これに関しては、ピルの服用はむしろメリットになります。
妊娠回数が多かった昔の女性と比べると、現在の女性は、生理の回数が8~9倍にもなっています。実は、生理のとき、私たちの卵巣は排卵による傷を受け、その傷を修復するという作業を毎回行っており、この回数が増えることで、子宮体癌や卵巣癌のリスクが上がってしまうことがわかっています。
しかし、だからといって、直ぐ妊娠できるかと言うと、そうはいかないと思います。仕事との兼ね合いもあるし、産んだからにはきちんと育てる責任も発生します。
そんな時、『超低用量ピル』を服用し、排卵を抑え、卵巣を休ませることで、上記の問題を回避することができる、というわけです。言い換えれば、むしろピルを服用して体を偽妊娠状態に保っていた方が、古来からの自然な状態を保てている、といっても良いと思います。
具体的な癌のリスク軽減のデータについては、下記の記事がわかりやすかったので、リンクを下記に貼っておきます。
『超低用量ピル』の種類とオススメ
そもそも、ピルは『超低用量ピル』だけではなく、ホルモンの配合量により、『中用量ピル』『低用量ピル』に分かれています。その中で最も女性ホルモンの配合量が低いのが、『超低用量ピル』です。
『超低用量ピル』の種類としては、
- ルナベルULD
- フリウェルULD
- ジェミニーナ
- ヤーズ
- ヤーズフレックス(120日間生理を止めることが可能)
- ドロエチ(ヤーズのジェネリックで、成分はヤーズ・ヤーズフレックスと全く同じ)
などがあります。わたしにはヤーズがよく合っていたため、ヤーズのジェネリック薬『ドロエチ』を現在服用中です。
人によって合う・合わないがあるので、一概に『これが絶対おすすめですよ!』ということは出来ませんが、個人的には『ドロエチ』が安いので、ヤーズが体質的に合っていたよ~と言う人や、コスパを求める人にはオススメです。
ちなみに、上記の情報は、私がピルの処方を希望して初めて受診した病院で、説明用の冊子を頂き、口頭でもキチンと説明してもらいました。副作用もあり、飲み方にも注意が必要な薬でもあるので、大学病院の婦人科など、ただ薬を出すだけでなく、様々なリスクも踏まえてキチンと説明してくれるところがオススメです。
『超低用量ピル』を手に入れる方法
この『超低用量ピル』を保険適用で手に入れるには、まず婦人科系の病院に受診し、医師の許可を得て飲む必要があります。
病院によって対応はまちまちだと思いますが、
①ひどい生理痛やPMSの原因として、婦人科系の病気(子宮内膜症やチョコレート嚢胞など)になっていないか、念のため検査
②検査結果で問題なければ、ピルが1か月分処方される
③1か月後再来で受診し、特に問題なければ3か月分を処方される
という流れが多いかなと思います。ただ、私がピルを初めて飲み始めたのはかれこれ数年前ですので、口頭で病歴等ないことが確認できれば、今は初診で処方してくれるところも多いかもしれません。
最初は1か月分しかもらえませんが、その後は3か月分をもらえるようになるので、最初のめんどくさいところを乗り越えれば、後はラクです(最初の受診だけ対面で済ませれば、後はオンライン診断のみで処方してくれるクリニックもあります)。
わたしの場合、大学病院で検査から
私の場合、医療系の親のススメで、まずは大学病院の婦人科を初診で受診しました。
これは、自分のPMSや生理痛の裏に、子宮内膜症やチョコレート嚢胞といった病気が隠れていないか、きちんとチェックしてもらうためでした。大学病院の場合、検査の予約自体、1回目の初診が終わらないと出来なかった(電話で検査予約、というのが出来なかった)ので、通常のクリニックよりもピルを処方されるまでにかなり時間がかかりました…。が、説明の丁寧さや、病気が隠れてないか、キチンと検査のしておきたいという方には、大学病院の婦人科受診がオススメかと思います。
私の場合、このような流れでピルをゲットしました。
<ピルをゲットするまでの流れ>
①1回目の受診で、自分の症状と、ピルを希望する旨を伝える。検査の予約をする。(ピルの詳細な説明はこの時先生からしてくれました。)
②2回目の受診で検査をする。自分の場合、触診、血液検査、超音波検査、念のためMRI検査も実施。
(初診から検査まで1か月ほどかかった。正直MRI検査は、本当に念のため、という感じでした。ぶっちゃけめっちゃめんどくさかったが、万が一病気があっても嫌だし、ピルもらうためだと我慢しました。。。笑)
③3回目の受診で、検査結果の説明をされる。晴れてピルを処方される。
(ちなみに、検査結果で、自分は『子宮後屈』といって、子宮が人より後ろの方についている人だったと判明。子宮内膜症の症状で、子宮後屈になり、直腸と癒着して生理痛がよりひどくなる、というパターンもあるようでしたが、自分の場合は先天的なもので、別に病気ではない、と言われた。ただ、子宮後屈の人は、人よりも生理痛や腰痛が酷くなることがあるようで、「だからあんなに尋常じゃなく腰が痛かったのか~~~!!!」と、長年の苦しみの原因が判明し、若干感動。)
①~③に至るまで、合計2~3か月程かかりました。正直メチャクチャめんどくさかったですが、今思えば、キチンと病気がなかったか最初に検査してもらったのは良かったなぁと思っています。あと、説明のクオリティがすごく高かったのも良かった。ネットだけでここまでまとまった情報は正直得られなかったと思ってます。
オンライン診療ってぶっちゃけどうなん??
最近は、『オンライン診療』なんてのも出てきています(『オンライン ピル 処方』とかで調べると沢山出てくると思います)。
時短で早くもらいたい、と言う方や、もうピル服用年数も長く、知識も充分にあるよ~という人にはお勧めです。(私もコロナ下や、長期出張等でなかなか病院に行けないときは、大変お世話になりました。)
ただ、こういったところは『低用量ピル(トリキュラー・マーベロンなど)』の処方がメインで、『超低用量ピル(ヤーズ・ヤーズフレックス・ドロエチ)』が割高(対面での処方だと、ドロエチで月に1000円以下のお値段で済むところを、配送料やその他込みで4000円近くなったり)だったり、そもそも保険適用外(全額自己負担)だったりするので、注意が必要です。
副作用の低い『超低用量ピル』を安く処方してほしい人、最初はきちんとまとまった説明を受けたいという人、病気がないか検査したい人、などは、めんどくさいですが、最初は対面での受診をおススメします。
超低用量ピルを飲み始めて6年、今思うメリットとデメリット
超低用量ピルを飲み始めて、最初はヤーズから始め、安定してきたので、120日間連続で生理を止めることが出来るヤーズフレックスに移行。それから5年くらいはヤーズフレックスを続けてきましたが、半年前くらいから、『ドロエチっていうヤーズのジェネリックが出たから、それ飲んでみる?』と先生に勧められ、ドロエチに移行。
というのが、私のピル歴になります。合わせて、かれこれ6年くらい、休薬も挟みつつ飲み続けてます。
6年間飲み続けてきて思うメリットは、まず生理(不正出血)が本当に軽くなった。4日間の休薬期間も、今まで動けないくらい生理痛が酷かったのが、痛み止めを飲めば普通に仕事出来るくらいになりました。出血自体も、2~3日で終わってしまいます。また、生理前の尋常じゃないイライラも綺麗になくなりました。生理前のニキビとも、今は無縁です。
文章にするとかるーい感じになっちゃいますが、私にとってこのメリットは本当にでかかったです。超低用量ピルを飲む前は、1か月中、3週間は調子が悪く、そのうち生理期間中の数日は、学校やバイトを休むような形になってしまっていました。その時はその時で、『生理なんだからしゃーない』と開き直ってはいましたが、超低用量ピルを飲み始めて安定期に入った時の、『ホルモンバランスが一定で、生理に振り回されることなく、学校や仕事を休む必要のないありがたさ』をしみじみと感じました。
ただ、いいことばかりでもなかったです。ヤーズフレックスに移行して数か月たったころ、急に満員電車で軽い吐き気を催し、その日の予定をすべてキャンセルしたことがありました。その時は、先生と相談し、1か月休薬しました。休薬したら吐き気が良くなったので、あれはヤーズフレックスの連続服用の影響だったのかな~と思ってます。(その後、1か月に4日、コンスタントに休薬期間を挟む『ドロエチ』に移行してからは、吐き気の副作用はほぼ気にならなくなったので、飲み方を変えるというのも一つの手かもしれません。)
また、私の場合は、ここ半年くらい、明らかにカフェインやアルコールに弱くなった感じがあります。が、ピルは6年前からずっと服用し続けているので、ピルのせいなのかと言われるとよくわからない、と言うのが正直なところです。
まとめ:絶対にピルを飲まなきゃ、って訳ではないんだよ、ということ
今回は、『超低用量ピル』に関して、私の知っている情報を、経験談交えて書いてみました。
『低用量ピル』の認知度は高いけれど、副作用の低い『超低用量ピル』、特に価格の安い『ドロエチ』はまだあんまり認知されていないのかなぁと思ったのが、この記事を書いたきっかけです。
最後に、此処までさんざん『超低用量ピル』をススメてきましたが、だから『絶対に超低用量ピルを飲め!』と言いたいわけではないです。
根本的な対策が出来る一方、デメリットもあります。毎日大体同じ時間に飲まなきゃいけないというメンドクサさもあります。
それに、本当は、あなた自身がこのような対策するより前に、世の中が生理休暇が取りやすい環境になるなど、周りがもっと、理解ある環境に変わるべきだ、とも思っています。
労働人口が減少して、女性も労働力として働いてもらう必要があるからとか、そんな理由じゃなく、純粋に、困っている人がいたら助け合う、それが成熟した社会というものだと思うから。
でも、今現在、本当に困っている人。ホルモンバランスに振り回されて、辛い思いをしている人に、こういう方法もあるんだよ、と一つの解決案をお伝えするつもりで、この記事を書きました。
どうか、生理で辛い思いをしている人が、少しでもラクになりますように。
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